筋生検の失敗例
不適切な筋生検部位
筋組織が脂肪で置換されており、情報が得られない。筋生検前にCTで脂肪化の程度を確認しておければ、このような事態は避けられる。太めの筋内神経が含まれているが、この太さであれば肉眼的に観察可能である。
出血
筋線維の間にフィブリンの析出があり、出血が多かったことを示している。この程
度であれば十分観察可能である。
凍結不良
筋繊維内に氷の結晶による穴が多数あいている。凍結にかかった時間が長かったた
めである。イソペンタンが十分冷却すること、瞬間的に組織をイソペンタンに入れる
ことが重要である。
解凍
凍結したブロックが何らかの理由で解凍し、その後ゆっくり凍結されたことが疑われる。
切片の方向不良
ブロックが台の上に正しく立てられないまま凍結されたため、正確な横断面が得られていない。
縫合糸
筋を採取するときにかけた糸が組織に残ったまま凍結され、標本に入ってしまった。
糸をかけた部分は形態学的観察に不適であり、生化学分析用に保存すべきである。
結合組織による薄切困難
結合組織が多く含まれていると薄切が困難である。薄切を行うとき、刃のあたる向
きを工夫するときれいに切れる場合がある。